おてもなし

おもてなしません。備忘録的なレシピを書いたり、雑多なことを書いたりします。

蕨(わらび)のあく抜き

この時期、近在の道の駅では山菜が売り出される。
蕨、タラの芽、あいこ(ミヤマイラクサ)、ミズ(ウワバミソウ)、などなど。
どれもこれも季節の味わいとして美味しいものではあるのだが、蕨は少し手間がかかる。
そのままでは苦くて食用に向かないため、あく抜きと呼ばれるプロセスを経ないと食べられないのだ。

あく抜きは、沸騰した湯に重曹を溶かした溶液に蕨を一晩程度漬けて行う。
木の灰(灰汁)を使う方法もあり、おばあちゃんがいまだにこの方法で蕨を仕掛ける家庭もあるようだが、
なにせ分量がわからない。
おばあちゃんの勘と経験がものをいう世界で、定量的に技法が伝達されていない。

そうした職人芸的なスキルを否定するものではないが、家庭で行う分には定量化して手順化する方が失敗も少ないしハッピーだ。
数回の施行ののち、こんな感じで手順化したので備忘用のメモとして書き残しておく。
あくまで僕の好む加減なので、何かの拍子にここを閲覧された方は参考程度にご覧いただきたい。

ベースになったレシピは山形【漬物の丸昌】さんのお漬物コラム【わらびのあく抜き】

www.marsho.jp

 

で、このレシピ通りにすると僕の味覚では少し苦かったので、重曹と湯の量を増やしている。

 

1.器

一般的な生わらびの長さは30センチくらい。
僕の家には大ぶりの鍋があるのでそのまま使用するが、例えば漬物の器を使い、容器の内周に添わせるようにカーブさせればある程度までの器なら収まる。

 

2.湯の量

わらびの重量の倍量、となっているが、うちの鍋だと倍量ではわらびが浸りきらないし、苦みの抜け具合も悪い(ような気がする)ので僕はもうちっと多く使う。
具体的には1キロの蕨に対して3リッターってところ。

あまりにも量が多いと、お湯の温度が下がりにくい。
温度は出来上がった蕨の硬さに影響するため、多すぎてもいけない。
600グラムの蕨に3リッター使用したら柔らかかった。

3.重曹の濃度

濃度が1.1%から1.2%ぐらいになるように調整する。
試行の結果、僕は1リットルに対し小さじ3杯、12グラムを投入している。
なお、デジタル計量器があるとちょう便利だ。
お菓子作り用のだと1000円ちょっとぐらいかな。

 

4.手順

※ここでは蕨の量を1キロとする。
湯の沸騰とともに水が蒸発するので水量は(多い方に)多少雑でもいいが、重曹はきちんとした量を用意のこと。

材料:

重曹36グラム
水3リッター
蕨1キロ

調理手順:

湯が沸くまでの間に蕨を水洗いし、先端部を取り除く。

湯が沸いたら火を止め、重曹を入れる。
少しの間鍋の蓋は開放して、湯から荒熱が取れたところで蕨を投入する。
蕨が浸りきらないときは、皿などを逆さまにして上から乗せ、簡易的な重しにする。
鍋に蓋をして温度が一挙に下がり過ぎないようにしつつおおよそ1晩放置する。

5.極めて大事な注意事項、および備考

お湯を扱うのでやけど注意。
重曹溶液を使うため、容器が対応しているか念のため確認のこと。
(たまに加工が剥がれてしまうことがあるそうな)
手順中、【粗熱の取れたところ】と云う定量化できてない表現があるが、感覚的には80度以上85度未満ぐらい。後日温度を測る機会があれば追記する。

6/14追記。温度計を用いて湯の温度を測ってみた。沸騰したところで火を止め、90度まで温度が下がったら蕨を入れてよい。根元の方から湯に浸すと先端が柔らかくなり過ぎない。

2019/05/11再追記。どうも柔らかく仕上がってしまうので、水3リッターに対して重曹を33グラム(リッターあたり1グラム減)、湯の温度88度で蕨を入れてみた。気温との兼ね合いもあるかもしれないがまずは1回これで様子見。

2020/05/24再々追記。重曹の量は30グラムに変更。完成後、水替えしてしばらく放置するのを必ず行うこととした。湯の温度は89度。

6.それでも蕨が苦かったら

水替えしてしばし放置するともう少し抜ける

7.食べ方

オーソドックスに鰹節をかけて醤油で。
醤油マヨネーズもいい。
個人的には生姜醤油が一番すいすい食べられる。

なお蕨で酒飲んでるといつまでも飲めるので二日酔いにも注意されたい。